スポーツ番組の切り抜き動画をYouTubeにアップする行為について

YouTubeに、テレビのスポーツ中継番組をカットして、短くまとめた動画を投稿する事について、著作権違反等の問題がないのか気になっている人はいませんか?

実はこの行為は、YouTube上のファスト映画問題にも良く似た、著作権上非常に危険な行為なのです。

この記事ではYouTubeへのスポーツ番組の切り抜きに関する著作権やルールについて解説します。

私は元動画編集の講師を務め、現在通信業界でマーケティングの仕事に携わっております。

この記事を読むとスポーツ番組の切り抜きに関する著作権やルールが分かります。

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切り抜き動画とは

まず切り抜き動画とは、オリジナルの動画投稿者のコンテンツを、第三者が特定場面のみを抜粋し、カットやテロップ等を独自に編集してから再投稿する事です。

通常であればYouTubeに投稿された動画を加工して、再アップロードするのが定番です。

切り抜き動画に関する詳しい解説は下の記事で解説しております。

スポーツ中継の切り抜き動画とは

プロ野球やサッカーなどのスポーツの試合は、最近はテレビだけでなく、パソコンやスマホ等のネット配信でも放送され、あらゆる場所で日々楽しめるようになっています。

さらに昨今では、一人で観るだけでなくツイッターやインスタグラムなどを通して、世界中の人々とリアルタイムで場面を共有し、一緒に盛り上がることも可能な時代となりました。

サッカーの代表戦になると、ハッシュタグを使ってみんなでゴールの喜びをシェアするといった事が頻繁に行われていますね

野球ならホームランの場面などの映像をツイッターなどに載せて呟くことも多いかもしれません。

そんな時代において、最近ネット上に現れてきたのが、海外のスポーツ中継等を録画し、短くカットしてテロップ等を付けてYouTubeにアップロードする行為です。

いわゆるスポーツ番組の切り抜き投稿と呼ばれる行為です。

Googleで『スポーツ選手名+YouTube』で検索すると、テレビの映像を切り抜いている非公式チャンネルがいくらでも出て来ますので確認してみてください。

スポーツ番組の切り抜きは違反なのか

結論から述べるとテレビやネットなど、実際の放送事業者が放送している映像をYouTubeへ投稿する行為は、著作権上NGとなる行為です。

最悪刑事罰に問われる行為ですのでやらないほうが無難です。

その理由を詳しく解説していきます。

野球やサッカーの中継映像は著作物か

野球やサッカーの中継映像は、映画や写真と同じく著作物となるのでしょうか。

著作物の定義には、思想または感情を創作的に表現したものであり、スポーツの試合そのものは著作物ではないというものがあります。

しかし、あくまで『試合そのもの』が著作物にならないだけで、『試合を撮影したもの』は、著作物に該当します。

つまり映像の切り抜きを動画を投稿する時は、著作権の事も考えなければいけないのです。

映画の著作物とは

著作権法の著作物の例示のなかで、スポーツの映像は『映画の著作物』の一つとして定義されております。

法律でいう『映画の著作物』には、映画の効果に類似する視覚的又は視聴覚的効果を生じさせる方法で表現され、かつ物に固定されている著作物を含むものとする。

映画の著作物には、下記3つが対象です。

  1. 映画の効果に類似する視覚的または視聴覚的効果を生じさせる方法で表現される事
  2. 物に固定されている事
  3. 著作物が含まれる事

2の『物に固定されている』という部分は、ビデオテープやフィルム、デジタルデータなどに記録されている(固定されている)という意味をもちます。

3の『著作物』という部分は、スポーツ中継の映像を、カメラマンがアングルなどをしっかり考えて選んでいる(思想や創作性を表現している)ことから、サッカーや野球などスポーツの中継映像も、映画と同じように『著作物』と見なされるという意味を持ちます。

著作権の違反と引用

テレビやネット配信のスポーツ中継が『著作物』である以上、放送事業者が著作権を保有ししています。

当然、映像配信会社の許可を得ずにYouTubeにアップした場合、著作権侵害に当たります。

これは映画をカット&テロップ付与した『ファスト映画問題』と同じだと言えるでしょう。

ファスト映画のYouTube投稿では、日本において実際に逮捕者も出ておりますので注意が必要です。

詳しくは下の記事で解説しております。

SNSへの投稿について

それでは動画のワンシーン(ゴールやホームラン)、また静止画面などをツイッターやインスタグラムに載せるのは著作権的にどうなのでしょうか。

多少の映像があったほうがSNSで盛り上がるのも事実です。

しかし、残念ながら厳密に言えばこれも著作権侵害に当たります。

ただし、侵害されているテレビ局がどういった判断を下しているかによります。

テレビ局にビジネス上の不利益がなかったり、投稿された内容が非営利目的の場合は、いちいち個人の投稿者を訴える事は少ないと言えるでしょう。

引用の条件に当てはまる場合は投稿できる場合がある

 

現代のようなSNS時代に、なにもかも厳密に著作権を適用しようとすると、相当窮屈な状況になりテレビ局側も手間がかかって仕方がありません。

ではこの動画について、『引用』の条件に当てはまった範囲内であればどうでしょうか?

著作権上では、引用の条件に当てはまる場合、無断使用が許容されるというルールがあります。

スポーツ中継の画像付きツイートが、『引用』の範囲内に含まれるかどうかを個人の判断で行うのは難しいところですが、はっきりとした境界線は無い状況です。

今後、国が新しい判断基準によって引用の成否を判断するようになれば、動画・画像付きツイートが引用と認められるかもしれません。

自分で撮影した試合の映像は著作権違反か

実際に自分が試合観戦に行って撮影した映像を、ツイッターやブログ、YouTubeなどに掲載しても問題ないのでしょうか。

試合そのものは著作物でない』のなら、自分で撮影した映像は撮影した自分の著作物になるはずです。

しかしこれも非常にグレーな問題となります。

大抵のスポーツビジネスにはテレビ中継が入っており、そこには放送権料がかかっています。

勝手に誰かがYouTubeやニコニコ動画などで試合を放送してしまうと、放送事業者が負担する費用や関連するスポンサー等に、経済的な打撃を与える事に繋がりかねません。

そのため競技場の運営管理規定で、営利目的で競技、式典、観客等の写真撮影またはビデオ撮影についてはガイドラインが定められております。

営利目的でなく、特に主催団体などにビジネス上の不利益を与えるものでないかぎり、個人が罰則を受ける可能性は低いですが、念のため各競技団体の規定をチェックする事が安全と言えるでしょう。

下はJリーグの例です。

ビジネス上、重要な位置を占めるため、「競技場の施設管理権」や「選手の肖像権」などを根拠に「放送権」の財産的価値が保護されています。

東京五輪でも、撮影やネットへのアップロードのルールに関し、厳しい取り決めがあり、「時代に逆行している」や「黙認されるのでは」といった反対意見もありました。

まとめ

いかがでしたか?

今回は、YouTubeへのスポーツ番組の切り抜きについて解説しました。

基本的に放送事業者が放映している映像をYouTubeにアップロードしてはいけませんし、自分が撮影した映像のアップロードについても競技場等のガイドラインを遵守するようにしてください。

日本は著作権についてはかなり厳しい国ですので、目先の楽しみに目がくらんで人生を棒に振らないように気を付けましょう。

それではまたお越しくださいませ~

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